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【2024/05/03 05:23 】 |
蔵元便り 第2号(2012年1月)

 2012年の年開け、今年も酒造りをしながらの年明けとなりました。蔵では毎年お正月前に大吟醸クラスの仕込みを行ない、もろみ管理しながらの年明けが恒例となっています。今年も無事仕込みを行ない、もろみの経過も順調です。

 さて、今回の蔵元便りではお酒の原料「お米」ついてご紹介します。昔から酒造りは、一麹、二もと、三造りと言われますが、これらの工程を管理する上で、重要となるのは原料であるお米の品質です。田植えから収穫まで、米作り農家さんの努力の上に出来上がったお米をどのようなお酒に仕込むか、私たち蔵元の力が試されます。

 当社では、お米の品種、精米歩合などの違いを生かしたお酒造りを目指しています。品種の違いはもちろん、精米歩合の違いで出来上がるお酒の味わいに変化を持たせています。
 一般的に麹米と掛米では、異なる品種を使用することも多いのですが、当社では吟醸酒(一部、純米酒)については、一つの仕込みには全て同じお米を使用しています。つまり、山田錦30%の仕込みでは、麹米から酒母米、掛米の全てが山田錦30%となります。
 
 また、精米歩合に関しては一つのこだわりがあります。当社独自の基準として精米歩合30%―40%で造ったお酒を大吟醸酒、45%―50%で造ったお酒を吟醸酒としています。一般的には大吟醸酒は50%以下、吟醸酒は60%以下と定められていますが、この基準よりもお米を削ることで高品質のお酒造りを実現しています。

 酒米の精米は専用の精米機で少しずつ、時間を掛けながら丁寧に磨いていきます。現在、当社では立地条件の問題から精米機が使用できない為、精米工程はすべて委託しています。したがって、初めて原料米と顔を合わせるのは、精米を終えた白米となってからです。実際のお酒造りでは、この白米の顔(性質)をよく知ることが重要です。e6e10c6a.jpgd9eff036.jpg

 
 山田錦
玄米
(精米前)


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山田錦
精米歩合
30%
(精米後)

 仕込みの最初の工程、洗米を行なった後はお米の浸漬を行ないます。この工程で白米に一定量の水を吸わせるのですが、原料米がどの程度水を吸うかということは、麹造りにも、もろみ管理にも大きな影響を与えます。しかしこのお米の吸水を管理するのは難しく水に漬ける時間を秒単位で管理する必要があります。吸水性というのは品種によっても、精米歩合によっても異なり、さらに同じお米、同じ精米歩合であっても入荷するたびに変わってきます。そこで『精米品質』や『白米の吸水性』などの調査を行ない、その性質を把握していきます。

 『精米品質の調査』は、指定した精米歩合に綺麗に仕上がっているか、また砕けた米、及びヒビの入った米がどの程度あるかなどを調べていきます。『白米吸水性の調査』は、入荷したお米の中からサンプルを取り、実験室の段階で白米が水を吸う速さを調べます。これらの調査から白米の顔(性質)を知り、その後の洗米、浸漬の工程に活かしていきます。お米の調査は地道な作業の繰り返しですが、その後の造りを管理する上では非常に重要な作業です。

 今回は、お酒の原料であるお米についてご紹介しました。次回以降、実際の酒造りの最初の工程である洗米、浸漬の工程をご紹介していく予定です。

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【2012/01/10 16:14 】 | 蔵便り | トラックバック()
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