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【2024/05/03 11:18 】 |
本年も宜しくお願いします。
 謹んで、新年のご挨拶を申し上げます。旧年中は格別のご愛顧を賜り、厚くお礼申し上げます。
 本年も社員一同、一層の努力を重ねることで皆様のご期待に応える酒造りを目指して参りますので変わらぬご厚誼、ご厚情を賜りますようお願い申し上げます。また、本年が皆様にとりまして更なる飛躍の年になること祈念しております。
 昨年は、ここ近年の日本酒への高い注目にも支えられ、弊社の出荷量もお陰さまで増加致しました。これに伴い、一部商品につきましては出荷の制限をお願いするなど、お得意先様には大変ご迷惑お掛け致しました。本年度はこれにお応えする為、より一層の増産体制にて仕込みに取り組んでおります。仕込みの開始も例年より少し早めました。造りの期間の折り返し地点にはまだまだ届いておりませんが、蔵のスタッフも一本一本丁寧に仕込みを続けています。


 このように日本酒への注目が高い時こそ日本酒の美味しさ、あるいは酔鯨の魅力を伝えていく為の活動が必要であると強く感じます。清酒全体を見ましても地酒を中心とした吟醸酒の出荷は伸びており、また今年も注目度は高まっていくものと思います。お酒のイベントなど消費者と交流する機会で強く感じますのは、特に今までは日本酒とは縁が遠かった若い方にも広く興味を持ってもらえているということです。こんな様子を見ますと自分たちの力不足を感じるとともに、まだまだPRをしていく必要があることを感じます。本年も色々なことに取り組んでいく予定です。もし皆様もこんなイベントがある、こんなことに合わせてPRしたら面白いのではないかなど御座いましたら是非教えてください。出来る限り参加させて頂きたいと思います。どうぞ本年も宜しくお願い申し上げます。

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【2015/01/08 08:08 】 | 蔵便り
蔵元便り 第11号(2013年7月)

 前々回の蔵元便りは、並行複発酵の難しさを交えながら仕込み温度の重要性をお話しました。今回も、引き続き温度の重要性について、モロミの品温管理にライトを当てお話していきます。

 品温管理をしていく上で、目標としている品温経過にしていくことは非常に大事です。なぜなら、品温経過が目標よりずれた場合、意図している成分、酒質にはならないからです。温度が目標より高いと、米が十分に溶ける前に酵母が増殖し、発酵が短く終わります。逆に、温度が目標より低いと、溶け過ぎたモロミの中で、酵母の増殖が不十分になり、酵母が死滅する状況を招いてしまいます。

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 酔鯨では、米の品種ごとに目標としている酒質が違い、それに対応した品温経過を設定しています。例えば、特別純米酒の品温経過であれば、モロミ前半の温度上昇を早めにして酵母の増殖を促し、十一日目ぐらいから味や香りを調える為に、少しずつ温度を落としていきます。

 以前は、モロミの温度を調節する為に必要な設備がなく、モロミを冷やす為の冷水の出入り調節を人が行なっていまし
た。その為、温度を正確にコントロールするのが難しく、目標の温度に合わせることがとても大変でした。気がつくと温度が下がり過ぎてることもありました。現在では、モロミの温度を24時間モニターしながら、冷水の出入りを自動的に調節し管理をしているので、目標の温度に合わせ易くなりました。さらに純米大吟醸については、冷水の温度までコントロールできる設備を導入し、より細かく温度の調節ができるようになりました。

 また、温度計は毎年造りが始まる前に0.1℃刻みで校正を行い、正確な温度を測定できるようにしています。それでも、温度計のセンサーを挿入した位置によっては、温度ムラが生じることもあるので、温度計を挿入する「位置」、「深さ」も統一しています。

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 外気温によっては、モロミの温度が上がり辛かったり、逆に下がりにくかったりします。特にモロミ前半、まだ米が溶けていない時期の温度コントロールは難しく、温度を調節する為に、電球、保温マットを使用したり、室温の設定を変更したりしています。
もちろん温度だけでなく、刻々と変化するモロミの状況を知ることも大切です。1日5回の検温時にはモロミの泡、香り、音、味なども観察します。五感をフルに働かせ、成分分析、温度などの情報を加味して総合的に判断し、品温管理をしていきます。

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 7月になり、とても暑くなって来ました。熱中症など体調をくずさないよう気を付けて下さい。お酒の搾りもようやく終わり、今年の酒造りをまとめ、来期の計画を練っているところです。今より、もっと良いお酒を造れるよう今年の酒造りをしっかりと振り返り、皆様へ美味しいお酒を届けていきたいと思います。

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【2013/07/25 10:28 】 | 蔵便り
蔵元便り 第10号(2013年5月)

 今回はお酒造りの工程のお話しからは少し離れて、「酔鯨の歴史と土居杜氏」と題しまして弊社の誕生から今日までを、またその発展を支えてきました土居杜氏についてご紹介したいと思います。弊社の誕生は昭和44年、前身の石野酒造を引き継ぎ高知市長浜の地に誕生しました。誕生からわずか44年、長い歴史を持つ蔵元が多いなかではまだまだ新米の酒蔵です。
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 前身の石野酒造は明治4年の創業です。世の中では維新の風が吹く時代よりこの地で酒造りに取り組んできました。戦前までは地域の造り酒屋として、また戦後の復興期は県内大手メーカーへの桶売りを中心として商売を続けてきました。残念ながら今は石野酒造はありませんが、お客様が地元ブランドとして売り出していた「初鰹」や「紅珊瑚」といった商品を今でも覚えていてくれることは嬉しい限りです。

 さて、酔鯨酒造へ生まれ変わって以降、親会社の旭食品の販売力にも助けられ、販路を高知県内さらには四国内へと広げていきました。桶売り中心から「酔鯨」ブランドの売り込みへ頑張っていましたが、昭和50年代に入ると清酒の消費量は頭打ちとなり、普通酒を中心とした販売では限界が見えてきました。弊社も将来が見えない厳しい時代でした。そんな中、地方蔵の吟醸酒への注目が集まり始め、弊社も普通酒を中心とした造りから吟醸酒造りへと切り替えていきました。この時大きく助けて頂いたのが東京の酒販店さんや地酒卸しさんでした。名も無き地方の酒蔵を東京の市場に引き出して頂いたことが今も酔鯨ブランドの基礎となっています。

 土居杜氏はちょうどその頃、昭和60年より杜氏として酔鯨の造りに関わりました。以来、今日まで27年間杜氏として頑張っています。土居杜氏の出身地は広島杜氏の発祥の地でもある広島県安芸津町です。18歳から酒造りに入り、夏は農家をしながら、冬は酒造りの修行と経験を積んできました。46歳で初めて杜氏となり弊蔵に入りました。蔵に入った当初は、勝手が分からない新しい環境で、当時ようやく広がり始めた吟醸造りを行なうという難題に取り組みます。困難な状況で、全く新しい試みに取り組んだ杜氏の心意気には頭が下がる思いです。
 実際、普通酒を中心とした造りから吟醸蔵への切り替えには様々な困難がありました。当時の吟醸酒造りは鑑評会に出品するお酒、わずかタンク2本のみでしたので、大量に吟醸酒を造る経験はありませんでした。杜氏を中心に試行錯誤を重ね「酔鯨の吟醸酒造り」が始まりました。
 高知県と広島県は地域的には離れていますが、酒造りにおいては強い関係があります。共通するのはどちらも軟水仕込みということです。高知は地形が急峻で、また雨が多いことから水質は超軟水です。より高品質のお酒造りが求められていた当時、広島杜氏が得意としていた軟水仕込みは必要な技術でした。一方、酒質は正反対で、広島の「濃醇甘口」に対し、高知は「淡麗辛口」です。

 基本は異なる酒質であっても、杜氏の技術と高知のお酒が出会うことで「酔鯨」の吟醸酒が生まれました。広島のお酒の特徴である「しっかりとした旨み」と高知のお酒の特徴である「キレの良い辛口」。このふたつを上手く生かして「旨みもありながら、キレの良いあと味」という酔鯨の吟醸酒の基本が出来上がりました。
 清酒においても食中酒という言葉が使われるようになり久しいですが、私たちが求めてきたものはまさにこの食中酒です。芳醇な旨みがお料理との相性を広げ、またキレの良いあと味は食を進めます。今後もこの「お料理を美味しく頂く為のお酒」を造っていきたいと思います。
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 さて、杜氏のお話に戻りまして。杜氏も今年で73歳となり、一年一年が勝負の年となってきました。蔵では数年前より、酔鯨の造りを伝承していく為に、杜氏の技術を学び、発展させてきました。杜氏と同じことをするのではなく、杜氏が作ってきた味を基本とし、それをさらに磨いていくことが目標です。すぐに出来ることではないですが、しっかりと技術力を高めてきました。今までの経験をどのようにお酒造りにいかしていくのか、これからも酔鯨の挑戦は続きます。

 次回はお酒造りの工程に戻りまして「もろみ管理」のお話を予定しています。

 

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【2013/05/23 19:24 】 | 蔵便り
蔵元便り 第9号(2013年3月)
 これまで、「洗米」、「蒸し」、「麹」、「酒母」と工程を追いながら、話を進めてまいりました。今回よりいよいよ仕込みタンク内での醸造の工程についてのお話です。麹造りと酒母造りで造った麹と酵母を活用し、さらに蒸し米、水を加えることでお酒造りが進んでいきます。この最初の工程、原料をタンクに入れる工程を「仕込み」と呼びます。今回はこの仕込み、特に温度管理の重要性についてお話を進めて行きたいと思います。
 仕込みを簡単に説明すると「蒸したお米と麹、酒母、水を合わせて、目標温度にする工程」となります。仕込みをスタートとして、タンクの中では米の溶解(糖化)とアルコール発酵(酵母の力)が同時に進行していきます。これを並行複発酵といいます。
 他の醸造酒を見ますとワインはブドウの果汁を原料にアルコール発酵を行う為、原料の糖化の必要性はなく工程はシンプルです(単発酵と呼ばれます)。ビールは麦芽を原料に糖化を行ない、得られた麦汁を使用してアルコール発酵を行います(単行複発酵)。どちらも液体となった原料からアルコール発酵を行なうのに対し、清酒は糖化と発酵が同時に進行していきます。ここに清酒造りの難しさがあるといわれています。
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 どうして難しいのでしょうか。
理由は「温度をコントロールしづらい」これに尽きると思います。仕込み直後は液体(酒母、仕込水)と固体(麹、蒸米)が混ざり合った状態ですが、固体は直ちに液体を吸込んで膨れ上がり、人の力では混ぜることは到底不可能な状態になります。例えるなら、タンクに巨大なおにぎりを入れたような感じです。とても混ざりませんよね。だから仕込み時の温度が適切でないと、取り返しのつかないことになるわけです。麹の力で米が溶けるまでは温度のコントロールがしばらくできないことになります。
 「温度が2~3℃違ってもそんなに影響ないんじゃない?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご自身が風邪で発熱して寝込んでいる時のことを想像してみて下さい。体温が2~3℃違うだけで、大変なことになっていませんか?清酒造りも同じなんです。仕込温度が2~3℃、いや1℃違うだけで米の溶け方、酵母の増殖、アルコール生成のバランスが大きく変ってきます。香りや味の成分生成も違ったものになり、出来上がって711e64c8.jpeg481be8b6.jpeged0439fb.jpegくるお酒の味に大きく影響してきます。
 せっかく狙い通りの麹、酒母、蒸米ができたとしても、酔鯨の酒ができないことにもなりかねません。具体的なところは企業秘密ですが・・・。
 以上、手短ではありますが、今回の蔵元だよりでは「仕込温度の重要性」について「並行複発酵の難しさ」も交えて、お話しをさせて頂きました。

 「光の春」といわれる2月も終わり、いよいよ本格的な春到来となりました。おかげ様で、今シーズンは販売も好調なことから増産となり、酒造期間を延長して対応しています。暖かい時期、仕込温度を目標に合わせるための苦労も増えますが、皆さんにおいしいお酒を届けるため、社員一丸となって、気を引き締めて酒造りを終えたいと思っております。
 次回は、モロミのお話です。

 

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【2013/03/19 19:11 】 | 蔵便り
蔵元便り 第8号(2013年1月)

 ご承知のとおり、お酒造りにおいて微生物である麹菌と酵母の果たす役割はとても大きいです。前号では、このうち特に「麹菌」についてその果たす役割や当社の造り方をご紹介させて頂きました。
今回は「酵母」についてのお話しです。

 酵母はアルコールを生成する、まさにお酒造りには無くてはならない存在です。この酵母を仕込みタンクに入れる前、大量に増殖させる作業が「酒母造り」です。酒母造りは、モロミのタンクと同様に、酒母タンクに蒸し米、麹を仕込み、この中で酵母を増やしていきます。当社の平均的な酒母造りでは、酵母は約30兆個~40兆個まで増えます。 fc2c1eda.jpeg

 
酒母造りを行なう一番の理由は仕込みの初期に雑菌の増殖を抑えることです。清酒造りは開放されたタンク、空間で行うため、種々の雑菌が入りこんでくる可能性があります。下手をすればお酒にならないということもあります。しかし、酒母から大量に酵母を持込んで数の力で圧倒すれば、雑菌が入り込む余地はなくなります。まさに自然の摂理を上手く利用した製造方法です。

 酒母には、更にもう2つの汚染防止の仕組みがあります。1つは、乳酸により強酸性の状態にあるということです。酵母は耐酸性が高いのに対し、多くの雑菌は酸に対する抵抗力が弱い為、強酸性の中では生きられず結果、雑菌の増殖は抑えられます。もう1つは、酵母が造り出すアルコールです。酒母には10%前後のアルコールが含まれ、これが雑菌の増殖を抑えます。
 お酒造りにはこのような2重、3重のセキュリティがあります。自然を理解し、巧みに取り込んだ先人たちの努力には頭が下がります。
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 酒母造りは出来上がるお酒の酒質にも大きく影響します。当社では、仕込みにおいてモロミの初期から酵母が盛んに増殖し、醗酵することを目指しています。これは、酔鯨の特徴である「キレのある味わいとスッキリとしたのどごし」を実現するために非常に重視している点です。酵母の活性が高い状態を維持したままモロミを仕込むことで、キレのある酔鯨のお酒が出来上がります。
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 現在、清酒醸造に適した酵母は様々な機関から提供されています。その中でも当社では食中酒としての味わいを大切にする為、伝統的な吟醸酵母である「熊本酵母」をメインに使用しています。「おだやかな吟醸香」はお料理との相性も良く、また「力強く、酸味があってキレのある味わい」は、和食から洋食まで幅広くマッチングします。

 今年も新酒の季節となりました。この時期、当社の近く御畳瀬という地域では、旬のメヒカリの干物づくりがピークを迎えます。15cm程の小振りな魚ですが、軽く火にあぶると、旨味のある、プリプリの白身が弾けとっても美味です。もちろん、これには酔鯨のお酒が良く合います。

 前回は麹造り、今回は酒母造りについてご紹介をしてきました。次回はいよいよ仕込みについてのお話の予定です。

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【2013/01/22 19:57 】 | 蔵便り
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