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【2026/01/16 06:58 】 |
蔵元便り 第8号(2013年1月)

 ご承知のとおり、お酒造りにおいて微生物である麹菌と酵母の果たす役割はとても大きいです。前号では、このうち特に「麹菌」についてその果たす役割や当社の造り方をご紹介させて頂きました。
今回は「酵母」についてのお話しです。

 酵母はアルコールを生成する、まさにお酒造りには無くてはならない存在です。この酵母を仕込みタンクに入れる前、大量に増殖させる作業が「酒母造り」です。酒母造りは、モロミのタンクと同様に、酒母タンクに蒸し米、麹を仕込み、この中で酵母を増やしていきます。当社の平均的な酒母造りでは、酵母は約30兆個~40兆個まで増えます。 fc2c1eda.jpeg

 
酒母造りを行なう一番の理由は仕込みの初期に雑菌の増殖を抑えることです。清酒造りは開放されたタンク、空間で行うため、種々の雑菌が入りこんでくる可能性があります。下手をすればお酒にならないということもあります。しかし、酒母から大量に酵母を持込んで数の力で圧倒すれば、雑菌が入り込む余地はなくなります。まさに自然の摂理を上手く利用した製造方法です。

 酒母には、更にもう2つの汚染防止の仕組みがあります。1つは、乳酸により強酸性の状態にあるということです。酵母は耐酸性が高いのに対し、多くの雑菌は酸に対する抵抗力が弱い為、強酸性の中では生きられず結果、雑菌の増殖は抑えられます。もう1つは、酵母が造り出すアルコールです。酒母には10%前後のアルコールが含まれ、これが雑菌の増殖を抑えます。
 お酒造りにはこのような2重、3重のセキュリティがあります。自然を理解し、巧みに取り込んだ先人たちの努力には頭が下がります。
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 酒母造りは出来上がるお酒の酒質にも大きく影響します。当社では、仕込みにおいてモロミの初期から酵母が盛んに増殖し、醗酵することを目指しています。これは、酔鯨の特徴である「キレのある味わいとスッキリとしたのどごし」を実現するために非常に重視している点です。酵母の活性が高い状態を維持したままモロミを仕込むことで、キレのある酔鯨のお酒が出来上がります。
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 現在、清酒醸造に適した酵母は様々な機関から提供されています。その中でも当社では食中酒としての味わいを大切にする為、伝統的な吟醸酵母である「熊本酵母」をメインに使用しています。「おだやかな吟醸香」はお料理との相性も良く、また「力強く、酸味があってキレのある味わい」は、和食から洋食まで幅広くマッチングします。

 今年も新酒の季節となりました。この時期、当社の近く御畳瀬という地域では、旬のメヒカリの干物づくりがピークを迎えます。15cm程の小振りな魚ですが、軽く火にあぶると、旨味のある、プリプリの白身が弾けとっても美味です。もちろん、これには酔鯨のお酒が良く合います。

 前回は麹造り、今回は酒母造りについてご紹介をしてきました。次回はいよいよ仕込みについてのお話の予定です。

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【2013/01/22 19:57 】 | 蔵便り
蔵元便り 第7号(2012年11月)

 酒造の新年度を迎え、蔵では今年の造りが始まりました。まだ全ての仕込みタンクは埋まっておりませんが、蔵の中はお酒の香りで一杯です。少しずつ寒くなる気候に合わせてお酒も仕上がってきます。今月末には今年の新酒の一番酒の出荷を予定しております。

 さて今回の蔵便りは、酒造りの要でもある「麹造り」のお話です。ご存知のように清酒は酵母菌と麹菌という二つの微生物の働きによって造られます。
 酵母菌の大きな働きはお酒のアルコールを造ることです。アルコールは酵母菌がエネルギー源であるブドウ糖を消化することで生まれます。したがってブドウ糖はアルコールを生み出すのに欠かせない材料となりますが、お酒造りの原料であるお米にはブドウ糖そのものはありません。お米にあるのは主にデンプンで、これは様々な糖がいくつも結合した形で出来ています。
 このデンプンを分解し、アルコール造りの原料となるブドウ糖に変えるのが麹の役割です。実際には、麹が作る酵素によりデンプンが分解され、これが最終的にブドウ糖となります。麹は、もう一つの微生物、麹菌により造られます。麹菌はカビの一種で、清酒造りでは黄麹菌が使われます。胞子の色が黄~黄緑色になるためこのような名前がついています。黄麹菌は、清酒意外にも味噌や醤油造りの麹にも使われ、日本の食文化には無くてはならない存在です。

 清酒の醸造においては、この麹の造りが味わいや品質を決める上で大きく影響します。昔から、酒造りは「一麹、二もと、三造り」と言われ、麹造りは良いお酒を造る上で最も重要な工程の一つとされてきました。
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 麹造りは温度と湿度が管理された麹室の中で行なわれます。通常は、2昼夜、約48時間で仕上がります。まず、蒸したお米に麹菌の胞子(種麹)を振りつけ、その後、麹室の温かい環境の中で米粒に麹菌を繁殖させていきます。作り初めからの米粒の変化を見ていきますと、1日目は特に変化は見られませんが、2日目の朝から米粒の表面に点々と白い斑点が現れてきます。この白い斑点が麹菌の菌糸で、麹菌が米粒にしっかり生えていることが分かります。2日目の朝から3日目の朝にかけてこの白い斑点が更に増え、さらに米粒の中にまで糸のように菌糸が伸びていきます。ここまで来ますと麹の出来上がりです。出来上がった麹は、栗のような香りがし、口にしますとほのかな甘味が感じられます。
 麹の出来具合を把握するのに一番分かりやすいのは、菌糸の生え方を観察することです。この菌糸の生え方により呼び名も変わります。一つは総破精麹(そうはぜこうじ)と呼び、米粒の表面、内部いずれにもしっかりと菌糸がまわっているものです。
 もう一つは、突破精麹(つきはぜこうじ)と呼び、米粒の表面にはあまり菌糸がまわっていないのですが、内部へはしっかりと菌糸が入り込んでいるものです。当社では、普通酒の商品については、しっかりした味わいを出すため、米の溶解が進み易い総破精麹を目標とします。また吟醸酒の商品については、米の溶解をおさえながらも、味わいにふくらみを出すため、突破精麹を目標とします。
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 盛り(24時間後)







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 仲(30時間後)







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 仕舞い(35時間後)






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 出麹(48時間後)




 さらに、個々の商品では、米の品種や精米歩合が異なります。麹造りもそれぞれのお米に合わせて管理を変えながら仕上げていきます。このようにすることで、お米の違いによる味わいの変化が生まれてきます。
 お米の種類の数だけ麹を造り分けることは大変な作業ですが、それぞれ精魂込めて造っています。飲みくらべて頂く際は、ちょっとそんなことも感じてもらいながら楽しんで頂ければ嬉しいです。

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【2012/11/26 20:14 】 | 蔵便り
蔵元便り 第6号(2012年9月)

 夏の暑さも終盤となり、過ごしやすい季節になって参りました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 夏の最盛期には、各地から賑やかなお祭りの話題が聞かれました。高知の夏のお祭りと言えば、お盆の前に開催される「よさこい祭り」が有名です。10-l.jpeg職場や地域などから結成されたチームが市内各所に設置された演舞場で「よさこい踊り」を披露します。参加に際しては、鳴子を使用するなどいくつかのルールはありますが、踊りの内容や衣装などは各チームのアイデアを生かしたものとなります。創意工夫の余地が多くあるのがこの「よさこい祭り」の良いところです。
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 何か新しいこと、他の人がやっていないことに取り組むという土佐人の気質をよく表しています。開催期間の4日間は、市内の各所で踊りの曲が大音量で流れ、観光客も含めて大いに盛り上がります。このよさこい祭りが終わりますと高知の夏も終わり、少しずつ秋に向かっていきます。

 

 さて、今回の蔵元便りは、お休みしておりましたお酒造りの話題に戻り、蒸しの工程から少しご説明させて頂きます。
 お酒造りおいてお米を蒸す理由は大きく2つあります。一つは、お米のでん粉をα化し、麹菌が作る糖化酵素の作用を受けやすくすることです。このように書くと少し難しいですが、要はお米のでん粉を、酵素が分解し易いように熱で分解することを意味します。もう一つの理由はお米に付着している雑菌を殺菌することにあります。お酒造りにとって雑菌は大敵なので、蒸し作業はこの点でも重要な工程です。

 蒸しの作業は毎朝5時半から準備が始まります。まずは洗米し、専用容器に保管した米を吊り上げ、蒸し上げを行なう甑に張り込みます。甑にお米を張り込んだら、盛り上げたお米の表面を平らにします。広げることにより、送り込んだ蒸気は甑の中で均等に行きわたり、ムラなく全体が蒸し上がります。0fb33c37.jpeg
 一般に、お米の蒸し時間は二十五分で十分と言われますが、時間を掛けてじっくりと蒸す事により脂質は減少し、またタンパク質は変性していきます。タンパク質が変性するということは生成されるアミノ酸が減少することにつながります。
 出来上がるお酒の品質から考えますと脂質の減少は香りの良さに、またアミノ酸の減少はすっきりした味わいに繋がります。

 
当社では蒸し時間を70分に設定し、しっかりと蒸し上げます。蒸すお米の量は仕込みの量により日々変化しますが、多い日には約2トンとなります。

 蒸しはボイラーの熱を利用して行いますが、ボイラーからの直接の蒸気を使用すると蒸気量が多すぎること、また鉄分が混入する恐れがあるため、実際にはボイラーの熱を利用して別の水を再沸騰させ、綺麗な蒸気を作り出してこれを甑に送り込みます。(この装置を整蒸器と言います。)お米が蒸しあがると実際に食べながら米の中心まで蒸せているか、芯はないかを確認していきます。また、手でつぶしてみて弾力があるかも確認します。蒸したお米が硬いと仕込んだ際に、お米が溶け辛く、また反対に軟らかいと溶けすぎる恐れがあります。この蒸し具合は、蒸す前の水分の調整が大きく影響する為、日々この確認をしながら吸水率の調整(実際には浸漬時間の調整)に生かしていきます。

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 甑から出されたお米は、放冷機を通し、目標温度まで冷ませます。お米から立ち上る蒸気とともに、蔵の中は蒸しあがったお米の良い香りが広がります。この後、お米は麹、酒母、もろみとそれぞれの用途に分けられます。
 洗米から始まった原料処理はこの蒸しの工程が最後です。蒸しの作業をきちんと行なうことにより、より良い麹造り、酒母造り、もろみ管理へと繋がります。

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【2012/09/04 18:52 】 | 蔵便り
蔵元便り 第5号(2012年7月)

 先日の報道にて、官民連携で清酒・焼酎の魅力と認知度を高めていくことが紹介されていました。「ENJOY JAPANESE SAKE」プロジェクトと称したこのプロジェクトの目的は、清酒、焼酎を國酒として広めていくことだそうです。このような動きを見ますと私たち蔵元も改めてお酒本来の魅力を高め、広めていく責任があると感じます。

 さて、今回は清酒のお話しは離れて、もう一つの國酒「焼酎」のお話しです。当社でも昔から米焼酎を造ってきました。高知の酒造りは清酒が中心ですが、一部の蔵元では清酒造りの傍ら焼酎造りに取り組んでいます。蔵元によっては原料に栗を使用するなど特色のある焼酎造りを行なっていますが、生産量が多いのはやはり米焼酎です。当社も原料はお米だけですが、仕込み水や貯蔵期間を変えることで3種類の商品に仕上げています。

 焼酎造り

 清酒造りがひと段落した今からが焼酎造りの季節です。6月初旬頃から約2ヶ月間、この期間で仕込みから蒸留まで行います。造りの仕事のスタートは蔵の掃除からです。毎年、焼酎の蔵を使用するのはこの期間だけなのでタンクや機器のチェックを入念に行ないます。準備に約3週間、ようやく仕込みが始まります。51981a50.jpeg

 造りは、麹は白麹、蒸留は減圧蒸留で行います。中心商品である「本格焼酎とさ25°」は白麹・減圧蒸留の特徴が良く表わされたスッキリ、クリアな味わいです。このすっきりした味わいは当社の清酒にも共通する特徴です。

 深層水で仕込んだ焼酎

 その他の商品では、仕込み水に海洋深層水を使用したものもあります。米焼酎は違いを出すのが難しいのですが、この商品では水を変えることで味わいに特徴を出しています。

 海の底近く(深層)を流れる海水のことを海洋深層水と言います。ここ高知県の室戸沖では、北太平洋を巡り日本近海に運ばれてきた海洋深層水の一部が大陸棚に当たり浅場まで湧き上がってきます。これを海中200メートルから汲み上げます。汲み上げられた深層水には当然、塩分が含まれますので脱塩処理をしてから使用します。県内では、当社のような焼酎造りはもちろん、ミネラルウォーターや食品の原料水として広く利用されています。

 海洋深層水は地球規模で流れる海流の為、長い年月をかけて循環をします(一説には数百年とも言われます)。この循環の間に海中のミネラル分などが含まれます。焼酎に使用しますと、この豊かなミネラル分が味に「ふくよかさ」や「まろやかさ」をもたらします。
 水が辿ってきた歴史を感じてもらいたいとの想いから商品名は「深層水焼酎 時空弐千年」としました。是非、数百年という悠久の時に想いを馳せながら楽しんで頂きたい焼酎です。

 0b91e848.jpeg焼酎造りのキーワード

 白麹:黒麹菌の菌株の中から発見された突然変異株です。酵素力が強く、現在の焼酎造りでは最も使用されている麹菌です。

 減圧蒸留:常圧蒸留が大気圧で蒸留するのに対し、減圧蒸留は大気圧以下の環境で沸点を低下させて蒸留する方法です。常圧蒸留では沸点が高いため、蒸留の過程でアルコールとともに様々な成分が揮発し、これらの成分が本格焼酎ならではの風味を生み出します。しかし、原料によってはこれらが癖のある香りや味わいに繋がる場合があります。一方、減圧蒸留では沸点を下げて蒸留をするので、取り出される成分は限られます。それ故、味わいがクリアで、癖の少ない、スッキリとした焼酎に仕上がります。

 

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【2012/07/10 14:45 】 | 蔵便り
蔵元便り 第4号(2012年5月)
 今回の蔵元便りは、蔵の話題は一旦お休みにして土佐の酒文化のお話しです。高知はご存知のとおりお酒文化が盛んで、飲酒量の減少が叫ばれる近年でも、一人当たり飲酒量(注1)は全国第3位を誇っています。1位、2位は料飲店が多い東京、大阪ですので(区域外からのお客さんが多い)、実質的には高知が全国1位です。

 さて、そんなお酒好きが多い高知では、人が集まれば必ず宴席が始まります。宴席のことを高知では「おきゃく」と呼び、郷土料理の「皿鉢料理」と合わせてお酒を楽しみます。老若男女を問わず注いでは飲み、注がれては飲むという返杯を繰り返し、豪快にお酒を飲むというのが土佐の宴席です。近年は飲む量も減ってきてはいますが、やっぱり最後まで飲みきる人が多いのは高知の土地柄です。
 
 古来からの酒飲み文化

 こんな高知の酒飲み文化は伝統と言えるのかもしれません。土佐の国産みの神話には「土佐国建依別(とさのくにたけよりわけ)」という支配神が登場しますが、これは「勇猛な男」を表します。高知では今でも気骨がある男性のことを、親しみを込めて「いごっそう」と呼びますが、こんな男にはやっぱりお酒が似合います。

 また、女性がお酒を良く飲むの も高知の伝統です。一つのお皿に様々なお料理を盛り付ける皿鉢料理が発展したのも、女性がお料理の準備に追われないようにという配慮がありました。

 酒質は、こんな宴席のスタイルに合わせて淡麗辛口が好まれます。弊社もお料理との相性を大事にし、あくまで食中酒としての清酒を大事にしてきました。

 お座敷遊び
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 土佐の宴席では余興として、様々なお座敷遊びがあります。一つは「箸拳」で、これは二人が一対一で向かい合って座り、双方がお互いに相手に見えないように箸を持ち、その数を当て合うというものです。ルールは簡単ですが、いろいろな駆け引きがあり奥が深い遊びです。もちろん、負けた場合はその都度、盃に一杯のお酒を飲まないといけません。
 毎年10月1日の「日本酒の日」には土佐箸拳全日本選手権大会と称して高知で全国大会が開催されます。お座敷遊びと言いながらも、この時は皆さん真剣に勝負に挑みます。もちろんお酒を片手に・・・。

 この「箸拳」以外にも「菊の花」や「べく杯」など、様々なお座敷遊びがあります。

  土佐新酒祭り

 高知ではお酒にまつわる多くのイベントがありますが、その一つ「土佐新酒の会」は全蔵元(18蔵)が参加するお酒の会です。毎年、各蔵の造りが終わり、新酒が出揃う4月の中ごろに市内のホテルで開催します。今年は4月20日に行ないました。会場は約500名のお客さんが集まり、大盛況のうちに会は進んでいきます。
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 宴会が始まりますと、皆さんお気に入りの蔵元のブースに向かい、今年の新酒を楽しみます。各蔵元のブースには自慢のお酒が並び、また一部の蔵元ブースでは、出回ることが少ない「蔵元の隠し酒」も揃っています。

 是非、来年は皆さんも遊びに来てください。高知のお酒とお料理ご用意してお待ちしております。

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【2012/06/17 12:16 】 | 蔵便り
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