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【2025/03/09 01:17 】 |
蔵元便り 第6号(2012年9月)

 夏の暑さも終盤となり、過ごしやすい季節になって参りました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
 夏の最盛期には、各地から賑やかなお祭りの話題が聞かれました。高知の夏のお祭りと言えば、お盆の前に開催される「よさこい祭り」が有名です。10-l.jpeg職場や地域などから結成されたチームが市内各所に設置された演舞場で「よさこい踊り」を披露します。参加に際しては、鳴子を使用するなどいくつかのルールはありますが、踊りの内容や衣装などは各チームのアイデアを生かしたものとなります。創意工夫の余地が多くあるのがこの「よさこい祭り」の良いところです。
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 何か新しいこと、他の人がやっていないことに取り組むという土佐人の気質をよく表しています。開催期間の4日間は、市内の各所で踊りの曲が大音量で流れ、観光客も含めて大いに盛り上がります。このよさこい祭りが終わりますと高知の夏も終わり、少しずつ秋に向かっていきます。

 

 さて、今回の蔵元便りは、お休みしておりましたお酒造りの話題に戻り、蒸しの工程から少しご説明させて頂きます。
 お酒造りおいてお米を蒸す理由は大きく2つあります。一つは、お米のでん粉をα化し、麹菌が作る糖化酵素の作用を受けやすくすることです。このように書くと少し難しいですが、要はお米のでん粉を、酵素が分解し易いように熱で分解することを意味します。もう一つの理由はお米に付着している雑菌を殺菌することにあります。お酒造りにとって雑菌は大敵なので、蒸し作業はこの点でも重要な工程です。

 蒸しの作業は毎朝5時半から準備が始まります。まずは洗米し、専用容器に保管した米を吊り上げ、蒸し上げを行なう甑に張り込みます。甑にお米を張り込んだら、盛り上げたお米の表面を平らにします。広げることにより、送り込んだ蒸気は甑の中で均等に行きわたり、ムラなく全体が蒸し上がります。0fb33c37.jpeg
 一般に、お米の蒸し時間は二十五分で十分と言われますが、時間を掛けてじっくりと蒸す事により脂質は減少し、またタンパク質は変性していきます。タンパク質が変性するということは生成されるアミノ酸が減少することにつながります。
 出来上がるお酒の品質から考えますと脂質の減少は香りの良さに、またアミノ酸の減少はすっきりした味わいに繋がります。

 
当社では蒸し時間を70分に設定し、しっかりと蒸し上げます。蒸すお米の量は仕込みの量により日々変化しますが、多い日には約2トンとなります。

 蒸しはボイラーの熱を利用して行いますが、ボイラーからの直接の蒸気を使用すると蒸気量が多すぎること、また鉄分が混入する恐れがあるため、実際にはボイラーの熱を利用して別の水を再沸騰させ、綺麗な蒸気を作り出してこれを甑に送り込みます。(この装置を整蒸器と言います。)お米が蒸しあがると実際に食べながら米の中心まで蒸せているか、芯はないかを確認していきます。また、手でつぶしてみて弾力があるかも確認します。蒸したお米が硬いと仕込んだ際に、お米が溶け辛く、また反対に軟らかいと溶けすぎる恐れがあります。この蒸し具合は、蒸す前の水分の調整が大きく影響する為、日々この確認をしながら吸水率の調整(実際には浸漬時間の調整)に生かしていきます。

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 甑から出されたお米は、放冷機を通し、目標温度まで冷ませます。お米から立ち上る蒸気とともに、蔵の中は蒸しあがったお米の良い香りが広がります。この後、お米は麹、酒母、もろみとそれぞれの用途に分けられます。
 洗米から始まった原料処理はこの蒸しの工程が最後です。蒸しの作業をきちんと行なうことにより、より良い麹造り、酒母造り、もろみ管理へと繋がります。

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【2012/09/04 18:52 】 | 蔵便り
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