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【2025/02/09 06:32 】 |
蔵元便り 第5号(2012年7月)

 先日の報道にて、官民連携で清酒・焼酎の魅力と認知度を高めていくことが紹介されていました。「ENJOY JAPANESE SAKE」プロジェクトと称したこのプロジェクトの目的は、清酒、焼酎を國酒として広めていくことだそうです。このような動きを見ますと私たち蔵元も改めてお酒本来の魅力を高め、広めていく責任があると感じます。

 さて、今回は清酒のお話しは離れて、もう一つの國酒「焼酎」のお話しです。当社でも昔から米焼酎を造ってきました。高知の酒造りは清酒が中心ですが、一部の蔵元では清酒造りの傍ら焼酎造りに取り組んでいます。蔵元によっては原料に栗を使用するなど特色のある焼酎造りを行なっていますが、生産量が多いのはやはり米焼酎です。当社も原料はお米だけですが、仕込み水や貯蔵期間を変えることで3種類の商品に仕上げています。

 焼酎造り

 清酒造りがひと段落した今からが焼酎造りの季節です。6月初旬頃から約2ヶ月間、この期間で仕込みから蒸留まで行います。造りの仕事のスタートは蔵の掃除からです。毎年、焼酎の蔵を使用するのはこの期間だけなのでタンクや機器のチェックを入念に行ないます。準備に約3週間、ようやく仕込みが始まります。51981a50.jpeg

 造りは、麹は白麹、蒸留は減圧蒸留で行います。中心商品である「本格焼酎とさ25°」は白麹・減圧蒸留の特徴が良く表わされたスッキリ、クリアな味わいです。このすっきりした味わいは当社の清酒にも共通する特徴です。

 深層水で仕込んだ焼酎

 その他の商品では、仕込み水に海洋深層水を使用したものもあります。米焼酎は違いを出すのが難しいのですが、この商品では水を変えることで味わいに特徴を出しています。

 海の底近く(深層)を流れる海水のことを海洋深層水と言います。ここ高知県の室戸沖では、北太平洋を巡り日本近海に運ばれてきた海洋深層水の一部が大陸棚に当たり浅場まで湧き上がってきます。これを海中200メートルから汲み上げます。汲み上げられた深層水には当然、塩分が含まれますので脱塩処理をしてから使用します。県内では、当社のような焼酎造りはもちろん、ミネラルウォーターや食品の原料水として広く利用されています。

 海洋深層水は地球規模で流れる海流の為、長い年月をかけて循環をします(一説には数百年とも言われます)。この循環の間に海中のミネラル分などが含まれます。焼酎に使用しますと、この豊かなミネラル分が味に「ふくよかさ」や「まろやかさ」をもたらします。
 水が辿ってきた歴史を感じてもらいたいとの想いから商品名は「深層水焼酎 時空弐千年」としました。是非、数百年という悠久の時に想いを馳せながら楽しんで頂きたい焼酎です。

 0b91e848.jpeg焼酎造りのキーワード

 白麹:黒麹菌の菌株の中から発見された突然変異株です。酵素力が強く、現在の焼酎造りでは最も使用されている麹菌です。

 減圧蒸留:常圧蒸留が大気圧で蒸留するのに対し、減圧蒸留は大気圧以下の環境で沸点を低下させて蒸留する方法です。常圧蒸留では沸点が高いため、蒸留の過程でアルコールとともに様々な成分が揮発し、これらの成分が本格焼酎ならではの風味を生み出します。しかし、原料によってはこれらが癖のある香りや味わいに繋がる場合があります。一方、減圧蒸留では沸点を下げて蒸留をするので、取り出される成分は限られます。それ故、味わいがクリアで、癖の少ない、スッキリとした焼酎に仕上がります。

 

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【2012/07/10 14:45 】 | 蔵便り
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